■ 本流モンスターブラウンとのファイト

8月某日、15時頃。

時折、ゲリラ豪雨が降る不安定な天候。
雨が止んだタイミングで水面からはガスが立ち上り、川全体が白く霞んでいた。

幻想的な景色だった。

そして何より、大物が出そうな雰囲気があった。

流心から少し外れた、手前のヨレへルアーを送り込む。

意識したのは、上流から流れてくる流下物や小魚。

ヨレのレーンを外さないように、縦方向にルアーの波動をほんの少しだけ出すイメージで、小さなジャークを繰り返しながら流していく。

そしてフォールに入った瞬間。

コン、コン、コン。

小さな衝撃が手元に伝わった。

この時点では、まだそれほど大きな魚だとは思っていなかった。

数秒後。

ロッドが一気にフルベントした。

そこで初めて、明らかに大きな魚だと分かった。

すぐ下には、さらに太く強い流れがある。

まずは流心から引き剥がそうとした。

しかし、魚の力が上だった。

一気に下流へ走られる。

気がつけば、30mほど下流まで持っていかれていた。

マズい。

そう思った瞬間、迷わず自分も走る。

ただ、魚の速度には到底追いつけない。

それでも、不思議なくらい頭は冷静だった。

そこで一つの考えが浮かんだ。

ラインテンションが強く掛かった状態では、魚も暴れる。

ならば、一度テンションを抜いてみる。

クラッチを切った。

完全にフリーにするのではなく、親指でラインをコントロールしながら、ギリギリ糸が張るくらいの弱いテンションだけを残す。

魚を止めようとしない。

走りたいだけ走らせる。

それが良かったのか、魚が止まった。

そこからは、ゆっくりと巻きながら少しずつ距離を詰めていく。

流れが緩み、足場も広くなる場所まで下ってきた。

ここまでで、おそらく100m近くは下流へ来ていたと思う。

そこから改めてファイトを開始。

まずは流心から魚を剥がす。

しかし、まだ終わらない。

何度も流心へ入っていく。

出して、入って。

また出して、また入る。

魚がターンするたびに、ロッドが大きく曲がる。

5分ほどかけて、ようやく魚が寄ってくる兆しが見え始めた。

幸い、後ろには十分なバックスペースがあった。

ここでリールを巻くのを止めた。

自分が一歩ずつ後ろへ下がる。

ロッドの反発だけで、ゆっくりと魚を寄せていく。

そして最後は、仲間のケンさんにネットインしてもらい、無事キャッチ。

上がってきたのは、今まで見たことがないほど太く、銀色をまとったブラウントラウトだった。

魚を見て、ようやく実感する。

そりゃ走るわ。

少しの間、その魚を眺めていた。

【Tackle Data】

Rod : NFC “amber” 6’11” ML
Reel : SHIMANO 17 Calcutta Conquest BFS
Lure : PROT MINNOW 65mm
Line : PITBULL X8 0.8
Leader : VARIVAS 12lb

angler: asayake_craft



amber 6’11ML

SPEC

全長:6ft11inch
自重:123g
素材:カーボン
継数:3pcs
適合WT:3-21g
ライン:PE0.6-1.5

■ キャストフィール

軽いルアーでは軽快に曲がり、重いルアーではしっかりと深く曲がる。

ただ硬いだけでも、ただ柔らかいだけでもない。

それぞれのウェイトでブランクが最も気持ちよく仕事をするポイントを探り、遠投とピンポイントへのキャスト、その両方を高い次元で成立させる。

グリップには、トラウトロッドではあまり採用されていない細身のリールシートを選んだ。

丸形リールを握ったときも、手の中で余計に握り込まない。
細身にすることで手首の可動域を広げ、小指までキャストに使えるグリップを狙った。

小さな入力でもブランクをしっかり曲げ込める。
腕を大きく振らないコンパクトなキャストでも、ロッドに力を蓄えてルアーを送り出せる。

その結果、飛距離だけではなく、狙った一点へルアーを置いていくようなキャストが可能になる。

魚を目視しながらルアーを送り込むサイトフィッシング。
そんな場面でも、このロッドのキャストフィールが生きる。




■ 情報量

そして、もう一つ追求したのが感度ではなく、情報量。

リアグリップには直線的なカーボンパイプを配置し、薄手のラバーでコーティング。

カーボンパイプそのものが持つ硬度を活かし、グリップ周辺の余計な柔らかさを極力排除した。

狙いはシンプル。

ブランクが拾った情報を、できるだけそのまま手元へ届けること。

トラウトフィッシングで欲しい情報は、魚のアタリだけじゃない。

ルアーが水を掴んでいる感覚。
ボトムに触れた瞬間。
流れが変わった瞬間。
障害物をかわした感触。

その一つひとつが、次の一手を決める材料になる。

だから求めたのは、単純な高感度ではなく、釣りをしている中で得られる情報量そのもの。




■ ファイト

リアグリップは、ファイト時に脇へギリギリ挟み込める長さ。

長すぎればキャストの邪魔になる。
短すぎれば大物とのファイトで安定しない。

その間を探った。

大物との長いファイトでもロッドを安定して保持し、魚の動きに合わせてロッドを送り込む。

無理に止めるのではなく、曲げて、受けて、いなす。

モンスターを力でねじ伏せるためのロッドではない。

モンスターはいなして獲る。

そのために必要なキャストフィールと情報量、そしてファイト時の操作性。

それらを一つのブランクに落とし込んだのが、amber 6’11” ML

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